転職活動では「自己PR(ピーアール)」を考える必要があります。
履歴書や職務経歴書に自己PRの文章を記載しますし、面接の時に面接官に聞かれることも多いです。
しかし「どうやって自己PRを作成したらいいかわからない」という方もいますよね。
ここでは中途採用向けの自己PRのつくり方を説明していきます。
転職活動の際の参考にしてください。
自己PRは重要な項目です
「自己PRをしてください」と言われても、普段あまりやったことがないために「自己PRは苦手」という方も多いと思います。
そのため転職活動でも適当な文章を書く方も多いですが、それだと非常にもったいないです。
特に書類選考のときは、自分の「入社したい!」という思いを企業の採用担当者に伝えられる項目は自己PRだけです。
ここで面接官の心に刺さるPRができれば、書類選考の合格率も格段に上がります。
ほかの応募者との評価がほぼ同じぐらいの時に、自己PRが合否を決めることもあります。
重要な項目ですので、志望する企業に合わせて文章をよく考えてみてください。
応募書類への自己PRの書き方
ここでは履歴書や職務経歴書への自己PRの書き方を説明していきます。
JIS規格の履歴書は下のような自己PRを書く欄があります。
「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」と書いてあります。
このうち「アピールポイント」が、いわゆる自己PRとなります。
転職活動の際は「特技」や「好きな学科」を記載する必要はなく、「志望の動機」と「アピールポイント」を中心に書くようにしましょう。
おそらく面接官は、社会人には「好きな学科」は聞いてこないと思います。
「特技」に関しては、履歴書には記載せずに面接で聞かれたら答えられるようにしておきましょう。
ただ転職の面接では「趣味や特技」などはあまり質問されないと思いますが…
履歴書の種類によっては、志望動機と自己PRの欄が分かれているものもあります。
上のように一緒に記載できる場合は志望動機と自己PRをまとめて記載してもいいですね。
ただ上の「志望の動機…」欄の枠内は大きくないので、文字数は多く書けません。
そのため、上の履歴書の枠内には志望動機を記載して、自己PRは職務経歴書に記載するのが一般的です。
そのほうが志望動機も自己PRも文字数が多く書けますので、「履歴書には志望動機」「職務経歴書には自己PR」と分けて書くのがおすすめです。
面接の時の自己PRの説明のしかた
面接の時に面接官が、
それでは、あなたの自己PRをお願いします。
と聞いてくることがあります。
その時には、履歴書または職務経歴書に書いた内容を口頭で説明するようにしましょう。
自己PRの文章をそのまま暗記して伝える必要はなく、書いてある内容と口頭で伝える内容が同じであれば問題ありません。
志望する企業によって自己PRの内容も変わってくることが多いので、他企業の自己PRと間違えないように気をつけたいですね。
そして「相手の会社」を指す言葉は、履歴書などに書く場合は「貴社(きしゃ)」、面接の時に口頭で説明するときには「御社(おんしゃ)」になります。
また面接では、かならず自己PRを聞かれるわけではありません。
自己PRは履歴書や職務経歴書に記載してありますので、質問してこない面接官もいると思います。
質問されなかったときは、
面接の時に自己PRを聞いてこなかったから不採用かもしれない…
と不安になる方もいますが、面接のやり方は企業ごとに違います。
自己PRを聞かれなかっただけで不採用になることはありません。
ただ面接の時は、質問されることを前提として答えられるように準備しておきたいですね。
自己PRの作成のしかた
ここからは自己PRのつくり方を説明していきます。
書類選考や面接で合格するための自己PRには、いくつかのポイントがありますので、それを挙げていきます。
新卒採用と中途採用の違い
新卒採用と中途採用では、同じ自己PRでもその内容に違いがあります。
転職活動は中途採用になりますので、その説明をしていきましょう。
こうした違いがあります。
新卒採用の学生の場合は、学生時代のエピソードや自分の性格や仕事への関心や意欲などが重視されます。
中途採用の場合は、学校を卒業した後の社会人として経験してきた「職歴」が一番のアピールポイントとなります。
業務経験やスキルや資格や実績などですね。
自己PRは、それらの中から志望先企業に役立つものを選んで作成してみましょう。
正社員の職歴が一番のPRになりますが、派遣社員や契約社員、パート・アルバイトで働いた経験があるときには、それも職歴になりますし自己PRにもなります。
それほど職歴がないときには、長所や短所や仕事への意欲などをアピールしてみましょう。
また転職活動の際に学生時代のエピソードを自己PRに選ぶ方もいます。
それも間違いではないのですが、中途採用の選考ではできる限り、職歴に関連した自己PRにしましょう。
NGになる自己PRの例
自己PRを作成する前に、まずは悪い例を説明します。
私は、
「遅刻や無断欠勤をしたことがありません」
「職場の仲間と仲良くできます」
「どんな仕事もコツコツかんばることができます」
「臨機応変に対応できます」
「几帳面な性格です」
「性格は明るくて元気です」
という点がアピールポイントになります。
という方もいらっしゃいます。
確かにそれも自己PRと言えますが…
上に挙げた例は、社会人としてできて当たり前のことですので自己PRにはなりません。
仮にあなたのところに携帯電話の販売員が来て、
このスマホはほかの人と通話することができます。いかがですか?
といわれても、それだけでは購入しませんよね。
通話やメール機能などがついているスマホは、もはや当たり前です。
そうではなく、そうした標準機能(社会人としての常識)がついている上で、さらに「お客様側が求めているもの」がないとと売れません。
社会人として最低限そなえていてほしい常識をアピールポイントにしても、企業側は採用したいと思わないのです。
ほかにも、私は「真面目です」「カンバリ屋です」「協調性があります」「責任感があります」「負けん気が強いです」など…
そうしたことを語られても、
実際のところはよくわからないし、確かめようもない。
というのが、話を聞いている面接官の感想です。
仮にあなたが面接官だとします。
そのときに応募者が、
私はマジメに仕事に取り組むことができます!
と言ってきたら、どんな感想を持ちますか?
そんなこと言われても、いまいち信用できない。
と思いますよね。
自分で自分自身を評価する主観的な内容は相手に伝わらないのです。
ですので、こうした自己PRはできればやめておきましょう。
またほかにもよくあるのが、
私は〇〇の業務の経験が6年ほどあります。この経験と知識を生かして、御社のお役に立てるよう貢献していきます。どうぞよろしくお願いします。
という言い方です。
これだけでは自己PRにはなっていません。
重要なのは、応募者も文中で言っている「これまでの業務で得た経験や知識の具体的な内容」なのです。
さらにそれが「応募する企業に役立つものかどうか?」も大事です。
そうした内容をエピソードもまじえて、よりわかりやすく説明することが自己PRになります。
もちろん企業によっても受け取り方は様々ですので、上のような具体的でない自己PRでも採用されることはあるでしょう。
しかし採用される確率を高めるためには、自己PRはよく考えて作成した方がいいのです。
求人の募集要項をよく読むこと
それなら「どんな自己PRがいいのか?」を説明していきます。
まずは求人の募集要項をよく読んでみましょう。
そこには「こんな人材を求めています」という企業からの要望が書いてあります。
書いてない場合もありますが、そこは仕事内容などの記載から、「どんな人を求めているのか?」を読み取りましょう。
募集要項をよく読んで「企業がどのような人を採用したいと思っているのか?」を理解します。
それに合わせて自己PRを作成しましょう。
自己PRの文章を他社でも使い回しする方もいますが、それぞれの企業に合わせて内容も変えてみてください。
自己PRのつくり方
自己PRを作成するときには、
これまで社会人として経験してきた仕事の内容や身につけたスキルや実績や資格などをすべて書きだして整理してみましょう。
一番のアピールになるのは現職もしくは前職の職歴になると思いますが、それでも学校卒業後からの職歴をすべて振り返ってみましょう。
その中で志望する企業に活かすことができるものがあれば、採用される確率も上がります。
より具体的に説明すると、
・リーダーシップを発揮した経験
・身につけたスキルや取得した免許・資格
・プロジェクトを企画したり参加した経験
・目標を達成するために努力してきたこと
・仕事の効率を上げるために工夫した点
・これまでに挙げた成果や実績
・入社後にやってみたいこと
などです。
どんな業務にどんな形で関わってきたのかを、わかりやすく説明してみましょう。
ほかにも仕事における成功例や失敗例を挙げて、そこから気づいたことや改善した点や自分が成長した点などを挙げてもいいですね。
上司や同僚から褒められたことや、自分の長所や短所も自己PRになります。
未経験の業界や業種への転職であれば、これまでの業務経験や強みをどう活かせるか考えてみてください。
また自己PRは仕事だけに限定する必要はなく、仕事以外の趣味や好きなことでもOKです。
例えば休日に自分の趣味でおこなっていることや得意としていることなど、仕事以外に自信があることでも自己PRになりますよ。
転職での自己PRとは「志望する企業で発揮できる自分のセールスポイント」になります。
企業が求める人物像に対して「私がそれに当てはまりますよ」と説明するのが自己PRです。
そうした文章を作ってみましょう。
自己PRの例文
それでは自己PRの例を挙げてみます。
営業の場合
営業の場合は、
「〇年度に〇〇件の新規開拓・契約件数」
「前年比で売上xxx%を達成」
「営業部の社員〇人中で1位を獲得した」
「ノルマに対して達成率○%」
など、実績や成果などは数字にして提示した方がわかりやすいです。
その際にどんな取り組みをして実績を上げたのかを具体的に書くといいですね。
数字などがわからなければ、売り上げをあげるために工夫したことを挙げてみましょう。
また「日々の業務の中でどんな課題があって、それをどうやって変えてきたのか?」などを書くのもおすすめです。
例えば、
「トラブルが起きたときにどうやって解決したのか?」
「新しいアイデアを提案したり、企画を立案した経験」
「顧客やエンジニアや取引先などと信頼関係を構築する際に気づいたことやおこなったこと」
「新人の教育や育成にたずさわった経験」
などを自己PRとしてみましょう。
事務の場合
事務の場合は、実績を数字としてあらわすのがむずかしい職種だと思います。
その時は、業務の中で「気をつけていたこと」や「工夫したこと」や「心がけていたこと」などを具体的に挙げてみましょう。
例えば「業務の効率化をはかるためにおこなったこと」や「仕事のミスを防ぐためにおこなったこと」でもいいですね。
例としては、
現職では営業事務を担当しております。顧客からの電話対応や来客の対応、データ管理や書類作成、経費精算などをおこなっております。担当する業務が多いため、業務内容を整理して優先順位をつけて取り組み、チェックリストを作成して処理漏れや作業ミスをなくすように心がけています。
また営業担当のサポート役として新しい知識を習得する必要があるため、マニュアルを作成したり講習会をおこなうなど、事務メンバーの間の情報の共有や新人の育成にも力を入れております。このため営業メンバーのサポートやお客様からの質問に対しても円滑に対応できています。
という感じです。
自分の職歴の中からPRになりそうな点をいくつか抜き出して、その点を具体的に説明するようにしてみましょう。
作成後はほかの人に添削してもらう
志望動機や自己PRなどの文章は、作成したらほかの人に添削してもらいましょう。
就職・転職活動の経験のある友人や知人でもいいですし、ハローワークやジョブカフェでも見てもらえますよ。
ほかには転職エージェントを利用していれば、担当者に文章を添削してもらえます。
初めての転職活動の時は自己PRの書き方がよくわかっていなかったり、久しぶりの転職活動の時は書き方を忘れていることも多いです。
そのため自己PRになっていない文章も多く見かけます。
意味がよく分からない文章になっていたり、必要のない文章が長々と書いてあったり、誤字脱字が多いなど、書いた本人が気づかないことも多いです。
そのまま提出すると、書類選考で不採用になることもありますので、提出する前に、ほかの人にチェックしてもらいましょう。
まとめ
ここまで転職活動における自己PRのつくり方を説明してきました。
自己PRの例文はネット上にもたくさんありますが、自己PRの文章は自分の言葉で作ることをおすすめします。
ネットの例文はプロが作ったような出来の良い文章ですが、応募者本人の言葉で書かれていないので、どうしても内容が薄く感じます。
さらにどの企業にも通用しそうな言葉を並べてありますので、企業の面接官の印象に残らないことが多いです。
素人が書いたような不器用な文章でも、自分で書いた文章の方が独創性が出ますし、相手の印象に残りやすくなると思います。
ただ例文を参考にして、自分で文章を作るのは構いません。
自己PRは転職活動において重要な項目ですので、志望する企業向けに文章を練って作成しましょう。
以上になりますが、転職活動の際の参考にしてください。
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