就職・転職活動では履歴書やエントリーシート(ES)に志望動機を書くことが多いです。
しかし「志望動機がまったく思いつかず、どうやって書いたらいいかわからない」という方もいますよね。
志望動機は合否に影響する重要な項目ですので、よく考えて作成したいところです。
ここでは志望動機の作り方や書き方を説明していきます。
「やめておいたほうがいい」志望動機の悪い例
志望動機が書けないときは、まずは反面教師として悪い例をしっかり押さえておきましょう。
志望動機を書くときの「これはやめておいたほうがいい」という例をいくつか上げてみました。
・「御社のスキルを学ぶため」「自分を成長させるため」
・「経営が安定していそうだから」「将来性があるから」「長く勤めたい」
・「家から近いから」
・「会社が有名だから」
・「給料が高い」「福利厚生がそろっている」「年間休日が多い」「残業が少ない」
・「以前からここではたらきたいと思っていた」
・「仕事が楽しそう」「仕事がラクそう」
・「なんとなく決めた」
・会社のホームページやパンフレットに書いてあることをまとめただけ
・ネットや本の例文の丸写し
などです。
志望動機にこうしたことを書いてしまう方もいます。
確かに応募者本人から見たら、これが本当の志望動機かもしれません。
しかし採用する側からみたら、これでは「採用したい」とは思わないのですね。
パートやアルバイトの求人に応募するときの志望動機なら、上の例でも通るかもしれません。
しかし正社員で応募するときの志望動機としては不十分だと思われてしまいます。
自分本位の志望動機では採用されない
「給料が高いから」「将来性がありそうだから」「御社のスキルを学ぶため」など、それが志望動機としての本音かもしれません。
でもそれでは企業の採用担当者は納得しません。
自分がその企業に求めていることを、そのまま素直に志望動機として書いてもアピールにはなりません。
これらの志望動機は応募者の「自分本位」の考え方を伝えているだけです。
相手側の立場になって考えていないのですね。
企業の良い点を上げて志望動機をつくったつもりでも、相手の気持ちにはまったくひびかないことはよくあります。
本やネットから志望動機の例文をパクってもいいの?
志望動機の例文は、就活や転職の対策本にもたくさん載っていますし、ネット上にもいろんな例文があります。
自分で志望動機を考えるのがめんどくさくて、例文をそのまま履歴書やエントリーシートに丸写ししてしまう方もいると思いますが…
それはやめておきましょう。
採用担当者はたくさんの履歴書やエントリーシートを見ます。
応募者がたくさんいれば志望動機の内容も似たようなものも多くなりますが、いくつか読んでいると、
「あれ?この文面はどこかで見たことがある…」なんて感想を持つかもしれません。
本やネットからそのままパクッてきた例文を、ほかの応募者もまた使っていることも十分考えられます。
「同じ志望動機はスゴい立派だけど、どこかで見た記憶がある…」
と思われたら印象もよくないですよね。
ほかにも「当社を選んだ志望理由を教えてもらえますか?」という面接官の問いに対して、「御社の経営理念に魅力を感じました」と答える方もいらっしゃいます。
企業のホームページに経営理念は書かれていますので、「とりあえずそれを言っておけばOKかな?」と思うかもしれませんが、ありきたりな答えでは不採用になる確率の方が大きいです。
簡単に思いつく答えというのは、ほかの応募者も同じです。
「御社の経営理念に魅力を感じました」と答えると…
「またその答えか、たくさんの応募者から同じ答えを何度も聞いたよ。それ以上のことは深くは考えていないんだな」
と心の中で思っているかもしれません。
志望動機は誰でも似たり寄ったりの回答になってしまい、有利にならないこともあります。
ほかの応募者と志望動機がかぶってしまうのは仕方がないのですが、それでも自分で文章を考えて書くようにしましょう。
その方が面接で回答を求められたときも、しっかり答えることができますよね。
なぜこの会社に入社したいと思ったのか?
志望動機は企業ごとに内容をよく考えてみましょう。
企業の採用担当者は「なぜウチの会社を志望したのか?」を単純に知りたいと思っています。
2016年の時点で日本国内には約385万社の企業数があるそうです。
「星の数ほどある企業の中で、なぜ当社を選んだのか?」という点は明確にして相手に伝えましょう。
採用担当者は自分が所属している企業に愛着はあるものの、企業内で長く働いていれば嫌な部分も見えてきます。
そんなときに応募者が自分が働いている企業の良いところを見つけてくれて、入社を希望してくれると単純にうれしくなりますし、この企業の長所を再発見する機会にもなります。
また採用担当者は「ウチの企業のことを知ってくれた上で入社希望をしてくれるのかな?」という点も見ています。
「入社してみたけど、やっていけそうにないから退職します」ということがないように、当社のことをしっかり知ってから志望しているのかも見ています。
「入社後も長く働いてくれそう」と思わせるような答えを考えて書いてもいいですね。
志望動機の作り方のコツ
やりたいことがハッキリしていれば志望動機もすぐ書けると思いますが、なかなか思い浮かばないときもあります。
志望動機を答えるときに明確にしておきたいことは、
・なぜその業界を選んだのか?
・なぜその仕事を選んだのか?
・なぜその企業を選んだのか?
という3つことをハッキリさせておきましょう。
それさえわかれば文章もつくれます。
そして志望動機が思い浮かばない時は、まずは企業の情報集めからはじめてください。
企業のことをよく知ることで志望動機もつくれるようになります。
企業情報の集め方としては以下の方法があります。
・ネットや本で調べる
・会社の商品やサービスを試してみる
・会社説明会に参加する
・OBOG訪問をする
といったやり方があります。
ネットや本で調べる
まずはインターネットで志望先の企業を検索してみましょう。
これは多くの方がやっているとは思いますが、まずは企業の公式サイトやSNSなどをよく見て、どんな企業なのかを押さえておきましょう。
この時に同業他社の公式サイトとも比較して、どういう点に両社の違いがあるのかを見ると相違点もよく分かります。
また、その企業や業界では最近どんなニュースがあったのか「ニュースの検索」もしてみましょう。
過去のニュースから情報を得ることもできます。
また就活サイトに行って選考に関するアドバイスや口コミなども参考にしてください。
それ以外にネットや本で調べてほしいのは、その企業の「強み」や「歴史」です。
特にネットで企業の口コミや評判などを検索することはあっても、本屋へ行ってその企業や関連業界に関する本や雑誌など読む人は少ないと思います。
実はその中にいい情報が隠れていたりするのですね。
例えば、
「創業から現在までの企業の歴史」
「競合他社とはどんな関係なのか?」
「企業の主力となる商品やサービス」
「企業の将来の展望」
「企業の社長の話や生い立ち」
など簡単でいいので調べてみましょう。
本や雑誌を読むなどして、いろんな情報を集めてみるのです。
こうした企業研究をすることで志望動機として書けそうなネタが見つかることがあります。
ほかの応募者と違う志望動機を書くためには、企業研究をしっかりおこなって独自の視点でつくるしかありません。
その準備に時間はかかりますし、時間をかけてもいい志望動機が思いつかなくて苦労するかもしれません。
しかし採用担当者が納得する志望動機が書ければ内定をもらえる確率が高くなるのは確かです。
この場合の具体的な例でいえば、
といった感じでもいいですね。
志望先企業の商品やサービスをためしてみる
またその企業の商品やサービスなどを自分で手に取って使ってみるなどしてみましょう。
店頭に並んでいる商品があれば自分で購入してみたり、その企業のサービスを自分で試してみたり、お店の雰囲気や店員の働き方などをチェックすることもできます。
特に売れ筋になっている主力の商品・サービスを見つけてその理由を考えてみたり、他社との違いをよく研究してみることもおすすめです。
「そんなに手間はかけられない」と思ってあまりやらない方も多いですが…
実際に志望先の企業の店舗をたくさんめぐってそれぞれの特徴を研究して、社員が知らなかった点を導き出して内定をもらった方もいます。
企業の社員としての感想と、お客様として利用したときの感想は、注目する点も違います。
お客様目線で見ていると、いろんな発見があると思います。
その中から志望動機として使えるものも出てくるのではないでしょうか。
具体的な例でいえば、
上の例は簡単に書いたものなので、そのままパクらないでくださいね。
でも加筆・修正して自分の志望動機にする分には問題ありませんので参考にしてください。
会社説明会に参加する
新卒採用の場合には、個別の会社説明会に参加しないと次の選考に進めない企業もあります。
会社説明会への参加が必須ではなくても、その企業の情報を集めるためには必ず参加して人事担当者の話を聞いておくことをおすすめします。
その企業で働いている人事担当者の説明ですから、そこでしか聞けない話も当然出てきます。
そうした重要な情報を聞き逃したら、内定から遠ざかってしまいますよね。
有益な情報を聞き逃さないためにも会社説明会には必ず出席するようにしましょう。
会社説明会に参加する目的は「志望動機などのエントリーシート(ES)に書く内容を見つけるため」です。
ですので会社説明会前に企業のことはネットでなるべく調べておきたいですね。
その上で合同説明会でも企業ごとの個別の説明会でもいいので、知りたいことを社員の方に質問をしてみましょう。
OB・OG訪問をする
会社説明会以外で企業のことを詳しく知るには、そこに勤めている社員の方から話を聞いてみましょう。
できればOB・OG訪問をして社員の方からいろんな話を聞いたほうがためになります。
志望動機をつくるために聞いておきたいことは、
・同業他社との違い
・会社が力を入れている分野
・仕事をする上で必要な能力
・仕事のやりがい
・入社した理由
なども聞いておきたいですね。
「内定を取るためのコツ」「入社した理由」「他社との違い」など、本当は一番聞きたい質問だと思います。
しかし会っていきなりそうした質問をすると相手も困惑すると思います。
初めて会うOB・OGの方だったら、なるべく失礼のないように応対したいですね。
ほかにもインターンシップに参加するなどして、どんな企業なのか知っておくことも大事です。
これまでの経験やスキルをアピールする
転職活動をする方は、これまでの仕事の経験やスキルや能力を志望動機として書くのもひとつの手です。
企業は即戦力になりそうな経験者を求めています。
これまでの仕事の経験やスキルや能力をまとめてみて、応募先企業でどうやって生かせるのかを考えて志望動機をつくってみましょう。
例えば、
〇〇の部分に言葉を入れてみたり、文章を加筆修正して自分だけの志望動機をつくってみてください。
具体的なエピソードなどもいれたほうが気持ちが伝わりやすくなりますよ。
企業の今後のことについて語る
人は将来のことについて前向きに語る人間に好感を持ちます。
「入社してからやってみたいこと」
「会社をこんな風にしていきたい・貢献したいこと」
などの自分が入社してからのことについて語ってみましょう。
それがちょっと間違っていたり的外れだったとしても、そこからやる気を感じてくれることもありますし、その心意気を買ってくれることもあります。
大きな夢でなくてもいいので、将来のことについて志望動機に付け加えてみましょう。
同業他社との違いはどこにあるのか?
志望動機はその文字通り「なぜその企業に入りたいと思ったのか?」という質問です。
よく誤解する方も多いのですが、業種や職種ではなく、志望先の企業に焦点をあてて志望動機をつくらないといけません。
例えば「〇〇の仕事にたずさわりたいと思いまして御社を志望しました」と答えると…
「〇〇の仕事はほかの企業でもやっていますけど、なぜ当社なんですか?」と言う質問が返ってくることがあります。
この質問には答えられるようにしておきたいですね。
志望動機をつくるときは「同業他社との違い」を押さえておく必要があります。
「同業他社ではなく、私は御社に入社したいのです」といった方が気持ちが伝わりますよね。
そのためには企業研究をしっかりやっておくことが重要になってきます。
ネットや本でも他社との違いを見つけることはできますが、会社説明会やOB・OG訪問やインターンシップなどに参加して、社員に質問などしてみましょう。
ただ業界によっては、どの企業も似たり寄ったりで同業他社との違いがわからなかったり、企業の情報が不足していて違いがつかめないこともあります。
そんな時は無理をしないで、書ける範囲で志望動機を書いておきましょう。
志望動機を読んでもらうための書き方
履歴書やESに志望動機を書くときに気をつけたい点は2つあります。
・結論を最初に持ってくる
・わかりやすく書く
という点です。
結論を文章の最初に持ってくる
採用担当者は履歴書やESを最後まで読まないこともあります。
文章を「起承転結」に従って結論を最後に書いても、そこまで読んでくれない可能性もあります。
ですので結論は最初に書いてしまいましょう。
例えば
私は以前から〇〇の仕事に興味があり、特に貴社の□□という点に魅力を感じました。
(省略)
自分のやりたいことがあり、それがかなえられる環境が貴社にあると思い応募しました。
このように自分が一番言いたいことを最初に持ってくるのです。
最初に重要な言葉を持ってくることで読み手も興味を持ってくれますし、それで最後まで読んでくれることも多くなります。
結論は最後に書くことが多いですが、最初に読み手の心をつかむような文章にしたほうがいいですね。
わかりやすい文章を書く
履歴書やESを書くときには文章の「言いたいことがわかりやすい」「読みやすさ」というのはかなり大事です。
応募数の多い企業にはたくさんの履歴書やESが届きますし、それを読む採用担当者も人数が少ない場合もあります。
そのため時間もないので1枚の履歴書やESを読む時間も短くなってきます。
「採用担当者は応募書類をすみからすみまで時間をかけてと読んでくれる」というイメージがあるかもしれません。
しかし選別することを目的としていれば「足きりする応募書類は全部読まない」こともあります。
20秒以内でサッと読んでみて、意味が分からない内容だったらその場ではじかれてしまうこともあるでしょう。
いそがしい時は読み返してもくれません。
文字数を多くするために遠回しな表現を入れたり、わかりづらい文章で書いてしまうと、読むほうも理解するのに時間がかかります。
「何が言いたのかわからない」と思われたら、その場でアウトになってしまうこともあります。
わかりやすい文章を書くということにも気を配りたいですね。
文字数はどのくらいがいい?
志望動機を書くときの文字数が指定されていればいいのですが、そうでないときは、どのくらいの文字数で書けばいいかわからないですよね。
ただ履歴書やESの場合は志望動機を書くスペースの大きさも決まっています。
そんなときは相手が読みやすい字の大きさを意識して、志望動機の欄の中を8~9割は文字で埋めるようにしましょう。
2~3行だけの短い志望動機を書いて、その下の半分以上が空白になっているようでは、やる気も疑われてしまいます。
とはいっても文章を長く書けばいいというものでもないですから、言いたいことを正確に伝えることを心がけましょう。
面接での志望動機の話し方
面接での志望動機の話し方は、履歴書やESに書いた志望動機を暗記しておいてそれをしゃべってもいいですし、多少言い方を変えて説明してもOKです。
面接官は提出された履歴書やESを見ていると思いますので、書いてある内容と面接で口頭で説明する内容が同じであれば問題ないです。
ただほかの企業の内容と混同してしまって、書いてあることと話の内容が違うと怪しまれます。
自分で書いた内容はコピーをとっておくなどして、面接前にチェックしておきたいですね。
志望動機は空欄にしないでかならず記入しましょう
「志望動機が何も思いつかない」ために空欄のままにしたり、「特にない」と書いて提出しないようにしましょう。
企業の採用担当者はかならず目を通す重要な項目ですので、よく考えて志望動機を書いてみましょう。
新卒の就職活動でも転職活動でも、基本的に志望動機の作り方は同じです。
志望する企業のことをよく調べて志望動機をつくってみましょう。
以上になりますが、履歴書を記載するときに参考にしてください。
コメント