転職活動をするときには「資格(免許や検定も含む)が必要になるのか?」気になりますよね。
求人を見ると「〇〇資格取得が必須」とか「△△資格取得者優遇」と書いてあるものもみかけます。
それをみると「やっぱり資格があった方がいいのかな?」と思ってしまいますが…
特に人気の高い資格に関しては取得しようかどうかや悩みますよね。
「そのような転職に人気の資格を取得すれば、実際にどのくらいの求人に応募できるようになるのか?」を調べてみました。
転職活動でこれから資格を取得しようとしている方は参考にしてください。
転職活動に人気の資格
転職活動で人気の資格は以下のものがあります。
1 TOEIC
2 MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
3 日商簿記
4 FP(フィナンシャルプランナー)
5 宅建(宅地建物取引主任者)
6 中小企業診断士
7 社会保険労務士
8 ITパスポート試験
それぞれどのくらいの求人数があるのか見ていきましょう。
検証するのは大手の転職サイト2社
「マイナビ転職」
「リクナビネクスト」
で資格名で検索して求人数を調べてみました。
マイナビ転職は求人情報の「求める人材」の部分を「資格の名前」で検索できるので利用してみました。
リクナビネクストは単純に求人数が多いので利用してみました。
転職サイトの検索はそれほど正確ではないので、資格名で検索したときに関係のない求人まで求人数に含まれてしまうこともありますのでご了承ください。
記載した転職サイトの求人数は2019年10月のものです。
TOEIC
TOEIC(トーイック)は英語能力テストです。
主にリスニングやリーディングの能力を試す英語のテストで、学生の就職活動や社会人のキャリアップでの英語力の目安として利用されることが多いです。
実際に勉強している方も多いですよね。
では転職サイトでのTOEICの求人数を見てみましょう。
マイナビ転職は求人数が全部で10627件あります。
そのうちTOEICのスコアが必要な求人は154件です。
リクナビネクストは求人数が全部で30670件あります。
そのうちTOEICのスコアが必要な求人は1273件です。
TOEICのスコアを求める求人の特徴は、企業によって求めてくるTOEICのスコアが違います。
求人の募集要項には「TOEIC700点以上」など目安になる点数が書いてあります。
転職サイトをザっと見たところ、TOEICのスコアは600~900点ぐらいを求める企業が多い感じです。
特に業務で英語を使う頻度が高くなる企業ほど求める点数が高くなる傾向があります。
外資系の企業だけでなく海外向けに事業を展開してる企業も英語のスキルが高い人を求めています。
また最近はTOEICのスコアだけでなく、実際に英語を聞いたりしゃべったりする能力や、英文を読んだり書いたりできる人を求める企業も多いです。
TOEICの成績が良くても英語がしゃべれないという方もいますが、それだと就職してから苦労するかもしれません。
ただTOEICのスコアが高いだけでは英語のスキルがあるとはみなされず、実際に仕事でも英語が使えるのかどうかが重要になってます。
面接のときにどのくらい英会話ができるのか試されることもあるでしょう。
TOEICのスコアを伸ばすだけでなく、仕事の現場で使える英語力も上げるようにしたいですね。
また英語のスキルはどの業界や業種でも必要になりますので、営業や事務から技術職まで職種が幅広く選べます。
翻訳などの専門的な業務以外では英語以外のスキルも必要になってきますが、TOEICのスコアが高ければその分だけ条件の良い求人を選ぶこともできます。
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)はExcel(エクセル)やWord(ワード)やPowerPoint(パワーポイント)などのパソコンスキルを証明する資格です。
エクセルやワードなどはデスクワークの仕事でもよく使われますので、MOSは人気の資格でもあります。
転職サイトでのTOEICの求人数を見てみましょう。
マイナビ転職は求人数が全部で10627件あります。
そのうちMOSの資格が必要な求人は5件です。
リクナビネクストは求人数が全部で30670件あります。
そのうちMOSの資格がが必要な求人は101件です。
両方とも意外と少ないですね。
これは検索の仕方が悪かったのかもしれません。
ここでは「Excel」で検索してみます。
すると、
マイナビは788件、リクナビネクストは2090件も出ました。
ほかにも「Word」や「PowerPoint」などで検索してみてもいいですね。
MOSの資格を求める企業はIT関連や事務職などが多いです。
MOS資格保持者を求める求人は、パソコンスキルがない未経験者でも応募できる求人が多い感じがします。
ですので第二新卒やほかの業種からの転職者やフリーターなど年齢が若い方をターゲットとした求人が多数あります。
また求人によっては研修でExcelやWordを教えてくれる企業も多いです。
そうした企業はExcelやWordの幅広い知識は必要なく、業務内容も社内でマニュアル化されているため、それを覚えれば一応仕事ができるようになるのでしょう。
場合によっては未経験OKの求人に応募して会社に就職して、仕事をしながらExcelやWordなどのパソコンスキルやそのほかのビジネスマナーを学んでもいいと思います。
ただMOSの資格を持っている方が多く、資格自体もそれほど難易度が高いわけではないため、比較的給与が低い求人が多い気がします。
日商簿記
日商簿記は1~3級も人気の資格です。
転職サイトで日商簿記1級から3級までのそれぞれの求人数を見てみましょう。
日商簿記3級
マイナビ転職は求人数が全部で10627件あります。
そのうち日商簿記3級の資格が必要な求人は82件です。
リクナビネクストは求人数が全部で30670件あります。
そのうち日商簿記3級の資格が必要な求人は136件です。
日商簿記2級
マイナビ転職は求人数が全部で10627件あります。
そのうち日商簿記2級の資格が必要な求人は107件です。
リクナビネクストは求人数が全部で30670件あります。
そのうち日商簿記2級の資格が必要な求人は281件です。
日商簿記1級
マイナビ転職は求人数が全部で10627件あります。
そのうち日商簿記1級の資格が必要な求人は7件です。
リクナビネクストは求人数が全部で30670件あります。
そのうち日商簿記1級の資格が必要な求人は30件です。
意外な結果ですが、一番求人数が多かったのは1級ではなく2級の方なのですね。
求人の募集要項には「日商簿記2級以上をお持ちの方」という記載が多く、「日商簿記1級をお持ちの方歓迎」という求人は少ないです。
おそらく企業側が1級ほどの知識を求めていないところが多いのかもしれません。
2級レベルの簿記の知識があれば会社で業務は覚えられるということなのでしょう。
その代わり1級を求める企業は給与もその分だけ高い感じですね。
簿記に関しては日商簿記2級を持っていれば応募できる求人も見つかると思います。
簿記資格取得者を求める企業の仕事内容は主に経理や会計などの事務職が多く、これらの求人は実務経験を求めてくるところも多いです。
未経験者の方は簿記の資格を取得してから企業に就職して実務経験を積んでもいいですね。
FP(フィナンシャルプランナー)
FP(フィナンシャルプランナー)は簡単に言うと、貯蓄や投資や税金や相続といったお金に関して総合的なアドバイスができる専門家です。
国家資格としてフィナンシャルプランニング(FP)技能士が1~3級までがあります。
転職サイトでFP技能士を検索してみましたが、この資格は検索の仕方がちょっとむずかしい。
ここでは「FP1級」「FP2級」「FP技能士」で検索した合計数をあげてみると、
マイナビ転職は求人数が全部で10627件あります。
そのうちFP技能士の資格が必要な求人は32件です。
リクナビネクストは求人数が全部で30670件あります。
そのうちFP技能士の資格が必要な求人は173件です。
FP技能士は国家資格ですし仕事でも役立つ面があると思うのですが、資格の名前があまり知られていない面もあるのか、それほど求人数は多くありません。
FPの資格を求めている業界は保険や不動産関連の企業が多いですね。
これらの業界はFPの資格を持っていることが特別有利になるわけではなく、やはり実務経験を積んでいる方が転職に向いています。
FPの資格の勉強をすれば「お金」に関する知識が身につくため今後の人生で役に立ちますが、転職活動で特別有利になるという資格ではなさそうです。
この資格を取得するときには何に利用するのかよく考えてから勉強を始めた方がいいですね。
宅建(宅地建物取引主任者)
宅建とは土地や建物などの不動産の売買や賃貸物件の斡旋などをおこなう際に必要になる国家資格です。
この資格を持っていないとできない業務もあるため転職活動では人気の高い資格です。
転職サイトで宅建のそれぞれの求人数を見てみましょう。
マイナビ転職は求人数が全部で10627件あります。
そのうち宅建の資格が必要な求人は100件です。
リクナビネクストは求人数が全部で30670件あります。
そのうち宅建の資格が必要な求人は1124件です。
「宅建の求人数が1000件越え!」と思って中身を見てみると、たしかに「宅建資格保有者優遇」という求人も見かけますが…
「宅建の資格は必須」という求人は少なく、「宅建資格保有者に資格手当を月2~3万円支給」という求人を多くみかけます。
この資格を持っていないとできない業務もあるため、その分だけ手当が上乗せされるのですね。
いろんな求人を見ていると、宅建の資格を持たない20代30代の未経験者でも応募OKというところも多いです。
国家資格で取得がむずかしい資格ですが、かならずしも必要とされている資格ではないような印象も受けます。
宅建の資格を持っていると応募後の選考で有利になるとはかならずしも言えず、転職では資格よりも業務経験が重要視されるようです。
中小企業診断士
中小企業診断士は主に中小企業の経営に関する調査や分析やアドバイスをおこなう国家資格です。
この資格は難易度が高いため、勉強して取得するまでに何年もかかってしまうこともあります。
転職サイトで中小企業診断士のそれぞれの求人数を見てみましょう。
マイナビ転職は求人数が全部で10627件あります。
そのうち中小企業診断士の資格が必要な求人は4件です。
リクナビネクストは求人数が全部で30670件あります。
そのうち中小企業診断士の資格が必要な求人は58件です。
中小企業診断士の資格を求める企業はかなり少ないです。
中小企業診断士の資格保持者の中には独立して経営コンサルタントになる方も多く、3割程度の方は独立して資格を生かしているようです。
また会社に勤めながらスキルアップするためや転職活動のために取得する方も多いですね。
しかし中小企業診断士の資格を持っていたとしても、企業の経営者は一般の社員や転職希望者に会社経営に関するアドバイスなどは求めません。
もちろん会社経営にたずさわるために転職する方もいますが、そうした人はごく一部ですし、そうした人は一般の転職サイトなどあまり利用しないでしょう。
中小企業診断士の資格はどちらかというと転職活動向きというよりは、資格や知識を生かして自分で会社をつくって独立する方や、
大手企業であれば自分が希望する部署に転属するためのスキルアップのために資格を取得することが多いです。
会社経営に関する知識を得ることができる資格ですが、一般の会社員が転職活動で特別有利になるという資格ではなさそうです。
社会保険労務士
社会保険労務士(社労士)は企業の人事や労務管理、年金や社会保険を専門とする国家資格です。
従業員の雇用や退職で発生する社会保険の手続きや、職場での労働問題の対処や年金に関する相談などが主な仕事になります。
転職サイトで社会保険労務士のそれぞれの求人数を見てみましょう。
マイナビ転職は求人数が全部で10627件あります。
そのうち社会保険労務士の資格が必要な求人は21件です。
リクナビネクストは求人数が全部で30670件あります。
そのうち社会保険労務士の資格が必要な求人は230件です。
企業内で必要とされる専門的な国家資格のため、求人を見ていると社会保険労務士を求める企業は多いです。
上の中小企業診断士よりは転職向けの資格といえそうですね。
また社会保険労務士の国家試験の合格率は約10%とかなりの難関の資格です。
その割には年収400万円ぐらいの求人が多く見られ、あまり好待遇の資格という感じではなさそうです。
業務独占資格で難関の資格なのに求人数もそれほど多くなく給与もあまり高くない印象の資格ですね。
ITパスポート試験
ITパスポート試験は「情報処理技術者試験」のうち最も簡単な資格です。
IT関連の資格の中でも初心者向けの資格ですが人気の高い資格になっています。
転職サイトでITパスポートのそれぞれの求人数を見てみましょう。
マイナビ転職は求人数が全部で10627件あります。
そのうちITパスポートの資格が必要な求人は11件です。
リクナビネクストは求人数が全部で30670件あります。
そのうちITパスポートの資格が必要な求人は75件です。
ITパスポート試験はITに関する基礎的な知識を学ぶことができるので人気が高いですが、正直言うと転職活動では使えません。
もちろん「ITパスポート資格者は歓迎」などの求人もありますが、その数も多くはありません。
人気の高い資格と言われているのですけどね。
IT企業への転職を目指すのなら資格取得にこだわるよりも、まずは未経験OKの求人に応募して就職し、実務経験や知識を身につけたほうがいいと思います。
もしくはITスクールなどのでプログラミングの勉強をして、それを武器に就職活動をすることもおすすめです。
ITパスポート試験や基本情報技術者試験などは実際の実務ではあまり役に立たず、ITの知識を補完する意味で役に立つそうです。
IT業界は新しい技術やスキルなどが次々と生まれていきますので、その時にトレンドに合わせて勉強した方が就職もうまくいくと思います。
IT業界もほかと同じく実務経験がものを言うため、ITパスポート試験や基本情報技術者試験などの資格を取っただけではいい就職先は見つかりません。
資格名で求人数を調べてみた感想
ここまで資格名で求人数を調べてみました。
その感想としては「資格を必要とする求人はそれほど多くはない」ということです。
むしろ資格を必要としない求人の方が圧倒的に多いのですね。
個人的に求人数が多いと思っていた日商簿記2級もマイナビ転職では10627件中107件と、1%ぐらいしかありません。
宅建も10627件中100件とこちらも1%ぐらいです。
これだけ少ないと通勤できる範囲内に希望の求人を見つけること自体もむずかしいですよね。
そして求人の募集要項を見ても「〇〇の資格は必須」という求人はあまり多くはなく、「〇〇の資格があれば優遇」という求人も多いのです。
優遇ということは資格保持者でなくても採用される可能性だってあるのです。
また宅建や中小企業診断士や社会保険労務士のような、資格を持っていないと業務にたずさわることができない業務独占資格においても、それほど求人数が多いわけでもありません。
難易度が高くて取得することがむずかしい資格でも、毎年多くの合格者が出ているのです。
そのため資格保有者がどんどん増えています。
試験の難易度が高い代表格の司法試験でさえ、合格者が増えて就職できない人が出てきているのです。
それを考えたら半年ぐらい勉強して簡単に取れてしまう資格は多くの応募者が持っているため選考で有利にはならないのですね。
世の中には資格保有者がたくさんいるため、資格自体の希少価値が低くなってしまい、それが求人数の少なさにも影響しているのでしょう。
または資格取得で学んだ知識が実際の職場で役に立たないなどのズレが生じていることもあります。
そのため資格を仕事で生かすのであれば、その資格をどのように活用するのかをよく考える必要も出てくるのです。
もちろん資格の勉強をして知識を身につけることも重要ですが、履歴書の資格欄に記載するためだけに資格を取得するのはやめておいた方がいいでしょう。
資格取得にも勉強する時間とお金がかかりますし、取得したとしてもうまく使うことができずに無駄になってしまうこともあります。
求人を見てみると資格を持っていなくても採用してくれる企業は非常に多いです。
資格以外の面でアピールして企業に入社して実務経験を積んだ方が、その後より条件の良い企業に転職できる可能性も出てきます。
まずは資格よりも興味のある仕事の実務経験を積むことをおすすめします。
個人的におすすめする資格やスキル
今回調べてみた中で特に人気が高い資格は「TOEIC」です。
英語は特定の分野だけでなく、今はどの仕事でも役に立つスキルといえます。
英語を勉強するとなると「学校で習ったテスト形式のTOEICの勉強がやりやすい」という方も多いと思います。
もちろん転職活動でTOEICのスコアを評価してくれる企業もありますが、実際のところ、役に立つのは就職・転職活動のときだけです。
TOEICは二の次にしておきましょう。
私が個人的に必要だと感じているのは「英会話」の能力です。
今は海外から日本にやってくる外国人観光客が年々増加してきています。
観光客も増えていますがそれだけでなく、日本に住んで生活している外国の方や日本の企業で働く人も増えてきています。
中には日本語を上手にしゃべる人もいますが、そんな人ばかりではなく日本語がうまくしゃべれない外国の方もいますよね。
そうした人たちとコミュニケーションをとるためには、英語で会話ができたほうが便利です。
ほかの国から来た人と会話することができれば、交流の輪が広がりますし、いろんな考え方や価値観に触れて自分の世界が広がります。
英語で会話することが苦手な方も多いですが、簡単な日常会話ができればいいのです。
今は英語のテキストだけでなく動画やアプリなどで英会話は勉強できますし、ネットで英語で会話する相手を見つけることも簡単です。
そうしたツールをうまく利用して勉強すれば英会話も上達していきますよ。
今はどこでも外国人観光客を見かけるようになりましたが、今後もより増えていきますし、職場で外国の方と接する機会も増えていくでしょう。
専門的なスキルを持った外国の方は外資系の企業だけでなくITや金融やサービス業などではたらいていますし、コンビニやホテルや飲食店などで働いていればお客として接することも増えますよね。
そうした人たちと会話をする機会が今後は増えてくるため、それにそなえて英会話のスキルをあげておきましょう。
日本人ばかりの職場で英語をしゃべることができれば重宝されますし、給与アップや大きな仕事を任されることもあると思います。
TOEICのスコアを上げることも大事ですが、まずは使える英語を身につけたほうが役に立ちます。
実際に私の職場でも英語が必要になり、毎日少しずつ勉強をしていますが、英語を使う仕事の環境が今後は増えてくることでしょう。
日本も少子高齢化で人口が減る時代になったため、企業も海外に目を向ける機会が多くなってきます。
今のうちに簡単でもいいので英会話ができるように勉強しておけば、あとで役に立つときもありますよ。
何か勉強をするのであれば、TOEICよりも実践的な英語力を身につけておくことをおすすめします。
以上になりますが、転職活動をするときの参考にしてください。
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