日本の将来に悲観的な若者が多いのはまわりの空気を読んでいるから

生活

2019年11月におこなわれた「各国の社会や国に対する意識調査」が話題になっています。

この調査は「日本」「アメリカ」「イギリス」「インド」「インドネシア」「ドイツ」「ベトナム」「韓国」「中国」の9か国の17~19歳の男女1000人(合計9000人)におこなったものです。

それによると、このような結果が出ました。

 

9か国の若者の意識調査の結果

まず「自身について」の6つの項目の回答です。

上の図の日本の回答の数字を表にすると、

自分を大人だと思う 29.1%
自分は責任がある社会の一員だと思う 44.8%
将来の夢を持っている 60.1%
自分で国や社会を変えられると思う 18.3%
自分の国に解決したい社会課題がある 46.4%
社会課題について、家族や友人など周りの人と
積極的に議論している
27.2%

日本は6つのいずれの項目においても9カ国の中で他の国に差をつけて最下位になった。

ホント将来が心配になるぐらいの数字ですが…

 

特に低い項目が「自分で国や社会を変えられると思う 18.3%」です。

日本では自分で国や社会を変えられると考えている若い人が2割にも届きません。

ほかの国は4割以上がほとんどで、インドは8割を超える結果が出ています。

 

またこちらの「自分の国の将来について」は、

 

「日本の将来は良くなる」と答える日本の若者は9.6%しかいません。

ほかの国と比べてもかなり少なくてちょっとビックリしますが…

反対に「日本の将来は悪くなる」と答える人は37.9%とほかの国に比べて多いです。

 

「中国の将来は良くなる」と答える中国の若者は96.2%にもなります(これは本当かどうか、ちょっと怪しい数字ですが)。

日本の若者は自国の将来についてかなり悲観的なのがわかります。

 

なぜ日本はほかの国に比べてダントツに低いのか?

自分の国について、「良くなる」と回答した人が過半数を占めたのは「中国」「インド」「ベトナム」「インドネシア」です。

逆に過半数を下回ったのは「アメリカ」「イギリス」「韓国」「ドイツ」「日本」です。

この結果から見ると…

 

「良くなる」と回答した人が過半数を占めた国の特徴は「経済成長率が高い国」です。

GDP成長率の国別ランキングを見ると、こうなります。

国名 GDP成長率
ベトナム 7.08
インド 6.81
中国 6.57
インドネシア 5.17
アメリカ 2.93
韓国 2.67
ドイツ 1.52
イギリス 1.40
日本 0.81

GROBAL NOTEより引用

 

「中国」「インド」「ベトナム」「インドネシア」はGDP成長率が5~7%もあります。

そして先進国の「アメリカ」「イギリス」「韓国」「ドイツ」「日本」のGDP成長率は0~3%ぐらい。

日本のGDP成長率は193カ国中171位と世界の中でもかなり低い。

この数字を見てもわかりますが、もはやメディアでは日本のことを「経済大国」と声高に言わなくなりましたね。

 

やはりGDP成長率が高い国の若者は、自分の国の将来に希望が持てるのです。

1960~80年代の高度経済成長をしていた日本でも、当時の若い人たちは日本の将来に明るい希望を持っていたと思います。

国の経済力が上がっていって生活が豊かになり、自分の欲しいものが手に入るようになる。

国に活力があると若い人たちが社会の中で活躍の場を見つけやすくなるなどの理由もあります。

経済力が上り調子の「中国」「インド」「ベトナム」「インドネシア」の若者は自国の将来に希望を持っているのですね。

 

逆に「アメリカ」「イギリス」「韓国」「ドイツ」「日本」などの先進国は経済成長がひと段落して、停滞・衰退の時期に入っています(アメリカはちょっと違うかもしれませんが)。

経済大国と言われていたころの勢いもなくなってきて、社会全体に停滞感が広がっていきます。

日本の企業ももうけが出ないため社員の収入も上がらず、みんな将来に不安を感じるようになります。

実際に日本でも若い世代の貧困率が高くなっていますので、そうしたことも影響しているでしょう。

それでも先進国の中で日本だけ「自身について」の数字が低く、「日本の将来は良くなる」と考える人が少ないのか?

 

日本人の自己肯定感が低い理由

この手の各国と比較した意識調査の結果を見ると、日本はなぜかほかの国と比べて自分自身や自分の国に対しての評価が低いです。

例として、下の図は平成30(2018)年度に内閣府が調査したものです。

調査対象者は各国13歳~29 歳までの男女

日本の若者は諸外国の若者と比べて、自分自身に満足している者の割合が最も低い。

自分自身に満足しているのが10.4%は、ほかの国と比べても低いですね。

 

また日本の若者は諸外国の若者と比べて、自国の社会に満足している者の割合が最も低い。

隣の韓国もいろんな問題を抱えていますが、それと同じぐらいの満足度ということは、日本に不満を感じている若者が多いということなのでしょう。

 

このように日本では自分自身や自分の国に対して満足していないなどの「自己肯定感が低い」という結果が出ています。

 

この結果に対して政府や教育関係者は深刻に受け止めています。

「なぜ日本だけが自分自身や自分の国に対して評価がこんなに低いのか?」その原因はいろいろと議論されてきました。

 

自己肯定感の低さの原因

これは内閣府が調査・分析した図です。


参考資料(pdf)

上の図から、自己肯定感に関する項目(自分自身に満足している)の中で、日本は「長所」「挑戦心」「主張性」に関しては他国とほとんど差はありません。

ただ日本は「自己有用感」に関する項目が他国に比べ強い関係が見られました。

自己有用感とは「他者からの評価を前提とした自己評価」で、相手の存在があることで初めて生まれてきます。

例えば「他人の役に立った」とか「他人に喜んでもらえた」などの他者からの評価があると自己有用感を感じるようになります。

例えば「家で仕事の手伝いをして親にほめられた」とか「自分は友達も多くまわりから人気もある」と感じていれば自己有用感が高まります。

このように他者から認めてもらうことで自己有用感を感じて自己肯定感が高まるというのが日本の若者の特徴です。

逆に「アナタ何もできないのね」など他者からの評価が悪いとか、一人ぼっちで他人から評価をされずにいると「自分はたいした人間ではない」と思いやすくなってしまうのです。

そのため他人がいる前提の行動の「他人に迷惑をかけない」「自己主張しない・おとなしい」「謙遜する」というのは自己肯定感を下げないための合理的な行動と言えます。

日本人は相手から「良い」「悪い」という評価で、自分の自己肯定感が上がったり下がったりするのです。

確かに人の目を気にする方は多いですが、これはほかの国ではあまり見られない日本人の特徴です。

 

有識者の分析によると、

日本の若者は他者との関係の中で「自分が役立つ」と感じることで自分への満足感を得るという、他国とは異なる要因や基準によって自分への満足感を感じている可能性が示唆された。つまり、日本の若者は「自分への満足感」が低いことは事実ではあるが、その低さは他国の若者とは一部異なる価値観に基づいているからでもあると考えられるということである。

特に家庭や学校の人間関係で「自分は役に立っているか?」「自分がどう思われているのか?」という評価が「自分への満足感」にも影響しているところがほかの国とは違う点です。

自分の親や学校の友達と仲良く過ごせていると自己肯定感が高くなりますが、友達がいなかったりいじめを受けていると自己肯定感が低くなります。

 

日本の若者の10代後半は、自分への満足感が自己有用感のもっとも影響を受けやすい時期である一方で、その時期に社会の中で自分が役立つという感覚をもてていないために、自分に満足することができていないという日本の若者の現状が理解される。

「世代別に検討したところ、10代後半において特に強く自分への満足感と自己有用感が関連している」という結果が出ました。

17~19歳の10代後半の時期は学生が多いため、やることといえば勉強や部活などの課外活動ぐらいで社会の中で自分が役立つことができず、そのため自己満足度が低いとも言えます。

 

他国の若者の自分への満足感が自己有用感から切り離されて成立しているというのは、発達心理学的には自然な姿のようにも思われる。
そういう時期に、日本の若者だけが「役立つ」という価値観にとらわれて、自分への満足感が影響を受けるということは、一見すると先行世代にとっては、日本の若者はまじめで好ましく思えるかもしれない。しかし果たしてそれが若者自身にとって良いことなのかということはさらに問い続ける必要があると思われる。

本当はほかの国の若者のように、自己有用感と自己肯定感がリンクしない方が自然である。

「他者から良い評価を得ることで自己満足度が高まるのが日本の若者の特徴ではあるが、はたしてそれでいいのかどうか」という疑問が有識者から上がっています。内閣府 有識者の分析より)

 

上で紹介した「9カ国の若者の意識調査」の中で、日本の回答で特に数字が低かったのはこちらです。

自分を大人だと思う 29.1%
自分は責任がある社会の一員だと思う 44.8%
自分で国や社会を変えられると思う 18.3%
社会課題について、家族や友人など周りの人と
積極的に議論している
27.2%

この数字になる理由は、17~19歳の年齢の時は学生が多く、社会の中で自分が役立つことができず、自己有用感が感じられず自己満足度が低い。

そのため自分自身に対する評価が低く、社会の中で自分が役立つという感覚をもてないために国や社会に対しての関心が高くないともいえます。

いわば「自己有用感と自己肯定感に関連がある」という日本の特徴ために、ほかの国の若者と比べて数字が低いのです。

自己有用感という視点から見た場合、日本の若者は、他国の若者と比べて特に自尊感情が低いわけではないのです。

 

自己肯定感が低い日本はどうすればいいの?

またこのような報告もあります。

人と自分を比べる中で、やはり「自分にはできないな」とか「自分には足りないなあ」という思いがどんどん自己肯定感を下げてしまうメカニズムがあるのかなと思っています。
そう考えたら、思春期はどんどん自己否定になって何か悪いことのように考えがちですが、発達という側面から見ると、「自分が見えてきた」「人の思いも想像できるようになった」「人の思惑も推察できる」という成長の裏返しだといえるのです。
さらに、こうありたいとか、こうあらねばという夢とか理想を抱いた結果、今の自分はまだだめだなという自分に対する厳しい目も生まれるのだと思います。
ですので、この自己肯定感得点が下がっていくというのは必ずしもマイナスではなくて、頑張っている裏返しであったり、そのような自分が見えてきた結果であって、これがずっと続くということではないのです。

自己肯定感が低いことで相手のことや自分自身を冷静に見ることができるため、決して悪いことではないといえます。

 

成人期も含め自己肯定感について調べた調査結果を見ると、自己肯定感の変容は実は高校生ぐらいが底になっていて、その後、20代、30代、40代、50代と上がっていくというのが、比較的共通した傾向です。
そのような意味では思春期というのは一時的に自分に対してすごく厳しくなったり、そこにとらわれてしまって、人の目からなかなか解放されない結果、マイナスの評価になってしまうというメカニズムがあると思っています。

子供たちの自己肯定感をどうはぐくむのか

また自己肯定感は10代後半が一番低く、その後年齢が上がるにつれて自己肯定感が上がって行きます。

自己肯定感がずっと同じというわけではないのですね。

 

まとめると日本の若者は、

・ほかの国に比べて自分自身や自分の国に対して評価が低い
・経済成長率が低く貧困が広がっていることで日本の将来に対して不安を持っている
・日本の若者は自己有用感と自己肯定感に関連性を持っている
・10代後半は自己肯定感が一番低いときでもある
・年齢が上がるにつれて自己肯定感は上がっていく

ということです。

ほかの国と比較した意識調査の結果を見ると、日本だけ数字が低くて「なぜ?」と思ってしまいますが、冷静に分析するといろんな答えが見えてきます。

ただ日本の10代後半の自己肯定感やその他の数字が低いことは政府や教育関係者も問題視しています。

自己肯定感が低いということは、この国で生きづらさを感じたり、今後の国の発展にも影響してくる可能性もありますので、今後の研究や対策を期待したいですね。

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このブログを書いている人

東京のとある企業で人事担当の仕事をしております。

応募者の面接担当を受け持つこともありますが、私自身もこれまで3度の転職経験があります。

応募する側と採用する側の両方の経験がありますので、それを生かしてこのブログでは転職希望者や新卒者に向けた情報を提供していきます。

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