就職に強い大学・大学院の学部はどこなのか?調べてみた

就活

高校生の中には、これから大学へ進学するにあたって「どの学部に進もうか?」で迷っている方もいると思います。

大学の学部を選択するときには「自分が勉強したいこと」で決める方もいますし、「就職に強そうな学部」で決める方もいるでしょう。

 

でも「就職に強い学部」はどこなのかご存知ですか?

一般的には「文系よりも理系のほうが就職しやすい」とか、「文学部よりも経済学部のほうが就職に強い」という話を聞きます。

「実際の学部ごとの就職率はどうなっているのか?」をデータをもとに調べてみました。

 

今回、利用したのは「学校基本調査」です。

ここに令和元年年度の「卒業後の状況調査」(公開日2019-12-25)があります。

そこの「大学」の表番号73の「関係学科別 状況別 卒業者数」と「大学院」の表番号79「修士課程の状況別卒業者数」を参考にしています。

これは大学・大学院の卒業後の進路を調査したもので、これを元に説明していきます。

 

エクセルの表には学部ごとの「正規の職員等」の数字が書いてあります。

この「正規の職員等」は、主に正社員として就職した人の数になります。

「正規の職員等でない者」は、主に派遣社員や契約社員として就職した人の数です。

「一時的な仕事に就いた者」は、主にパート・アルバイトの仕事に就いた人の数です。

「左記以外のもの」は、主に無職の人の数です。

ここでは「就職に強い学部=正社員の割合が高い」という基準で見ていきます。

「正規の職員等」の数を「計(合計数)」で割って、学部・学科ごとに正社員の割合を(%)で表示していきます。

(%)の端数は四捨五入してあります。

それでは見ていきましょう。

 

就職に強い大学の学部はどこか?

学校基本調査を作成している文部科学省は、大学・大学院の学部を下のように分類しています。

「人文科学」「社会科学」「理学」「工学」「農学」「保健」「商船」「家政」「教育」「芸術」「その他」

の全部で11の学部で大きく分類しています。

 

さらに、それぞれの学部を説明すると、

「人文科学」…文学、史学、哲学などの学部

「社会科学」…法学・政治学、商学・経済学などの学部

「理学」…数学、物理学、化学、生物学、地学などの学部

「工学」…機械工学、電気通信、土木建築、応用化学などの学部

「農学」…農学、獣医学・畜産学などの学部

「保健」…医学、歯学、薬学、看護学などの学部

「商船」…商船学関係の学部

「家政」…家政学、食物学、被服学などの学部

「教育」…教育学関係の学部

「芸術」…美術、デザイン、音楽などの学部

「その他」…教養学、人文・社会科学、人間関係科学などの学部

となります。

 

それぞれの学部の卒業生の進路は下のようになります(数字は%表示)。

「進学=大学院進学」「正規=正社員」「非正規=非正規社員」「パート=パート・アルバイト」

※「保健」は医学、歯学をのぞいた薬学、看護学、その他の数字になります。

進学 正規 非正規 パート 無職
人文科学 4 80 3 2 9
社会科学 2 86 1 1 7
理学 40 50 2 1 5
工学 36 59 1 0 3
農学 23 70 1 1 5
保健 6 84 2 0 7
商船 51 44 0 0 5
家政 2 88 4 1 4
教育 5 73 12 3 5
芸術 8 59 6 5 16
その他 7 78 3 2 8

 

就職に強い学部のランキング

上の表から「正規=正社員」の割合が高い順で、就職に強い学部をランキングをつくってみると、こうなります。

1位 家政(88%)
2位 社会科学(86%)
3位 保健(84%)
4位 人文科学(80%)
5位 その他(78%)
6位 教育(73%)
6位 農学(70%)
8位 工学(59%)
8位 芸術(59%)
10位 理学(50%)
11位 商船(44%)

 

このランキングからわかることは、

就職に1番強い学部は「家政」です。

「家政」は「衣食住」に関する事柄を学ぶ学部で、女子大に設置されていることが多く、女子学生の割合がかなり高い学部です。

それぞれの「家政」の学部の就職率を見てみると、

家政学(88%)食物学(90%)被服学(75%)住居学(77%)児童学(81%)その他(71%)となっています。

特に就職率の高い家政学(88%)や食物学(90%)は食品メーカーや大手飲食店などに就職する方が多いです。

 

2番目に就職率が高い学部は「社会科学」です。

「社会科学」のそれぞれの学部の就職率を見てみると、

法学・政治学(82%)商学・経済学(87%)社会学(85%)その他(85%)となっています。

社会科学の学部は全般的に数字が高く、特に商学・経済学の学部は高いですね。

 

3番目に就職率が高い学部は「保健」です。

「保健」は医学、歯学、薬学、看護学、その他の学部で分類されています。

その中で医学と歯学の卒業生は進学や就職はせず、臨床研修医になる人がほとんどです。

そのため医学と歯学をのぞくと、薬学(75%)看護学(92%)その他(83%)となります。

「保健」の中では特に「看護学」の就職率の高さが際立って高いですね。

 

また理系の学部は「理学(50%)」「工学(59%)」「農学(70%)」「商船(44%)」と就職率が低いですが…

これは、ほかの学部に比べて大学院への進学する人が多いためです。

文系の大学院進学率は1ケタですが、理系の大学院進学率は「理学(40%)」「工学(36%)」「農学(23%)」「商船(51%)」と高いです。

理系は大卒で就職する人と、大学院へ進学して、より専門的な知識を学んでから就職する人で大きく分かれます。

 

「教育」は正社員が73%と低く、非正規が12%で、この非正規の数字が他の学部に比べて大きいです。

これは教育学部を卒業して教員として就職する人は、全体の6割程度になります(大学によって教員になる人の割合は違います)。

この教員として就職する人には、「正規採用」と「臨時的任用」の2つの種類があり、「臨時的任用」として採用された人は非正規としてカウントされているようです。

そのため「教育」は、ほかに比べて非正規の数が大きいのですね。

 

「芸術」は正社員が59%と低く、非正規が6%、パート・アルバイトが5%、そして無職が16%です。

「芸術」の無職16%は、ほかの学部に比べて突出して多いのですが…

これは卒業後に企業に就職するのではなく、大学で学んだことを活かしてフリーランスとして活動している人が多いのだと思います。

イラストレーターやデザイナーなど個人で仕事をされている人が多いのではないでしょうか。

ここからは大学・大学院の文系・理系ごとに学部の就職率をこまかくみてみましょう。

 

大学卒業後の就職

文系の学部で一番就職に強いのは?

大学の文系学部の卒業後の「正規の職員(正社員)」の割合を調べてみました。

・人文科学(80%)

文学(81%)史学(77%)哲学(74%)その他(80%)

・社会科学(86%)

法学・政治学(82%)商学・経済学(87%)社会学(85%)その他(85%)

・家政(88%)

家政学(88%)食物学(90%)被服学(75%)住居学(77%)児童学(81%)その他(71%)

・教育(73%)

教育学(74%)小学校課程(66%)中学校課程(54%)中等教育学校課程(55%)養護学校課程(22%)幼稚園課程(89%)体育学(72%)特別支援教育課程(70%)その他(75%)

・芸術(59%)

芸術(54%)デザイン(69%)音楽(43%)その他(65%)

・その他(78%)

教養学(79%)総合科学(74%)人文・社会科学(80%)人間関係学(77%)その他(77%)

 

文系の学部で正社員になる割合の高い順で1~10位まで並べると、こうなります。

1位 家政 食物学(90%)
2位 教育 幼稚園課程(89%)
3位 家政 家政学(88%)
4位 社会科学 商学・経済学(87%)
5位 社会科学 社会学(85%)
6位 社会科学 その他(84%)
7位 社会科学 法学・政治学(82%)
8位 人文科学 文学(81%)
8位 家政 児童学(81%)
10位 人文科学 その他(80%)
10位 その他 人文・社会科学(80%)

 

1位は「家政」の食物学(90%)です。

そして3位に「家政」の家政学(88%)がありますので、「家政」は就職率が高いです。

2位の「教育」の幼稚園課程は数字は高いですが、学生数が37人と少ないのであまり参考にはならないかもしれません。

4位以下は「社会科学」の商学・経済学(87%)をはじめとして、社会科学の学部が並びます。

特に商学・経済学の卒業生は大学の学部では最も人数(101,068人)が多く、正社員として就職する人数(88,196人)も1番多いです。

やはり企業に就職をする上では、経済学などの勉強をしておいた方が有利にはたらく面もあるのでしょう。

また「人文科学」の文学(81%)も就職に強い学部ですね。

こうしてみると、文系は「家政」「社会科学」「人文科学」が就職に強いことがわかります。

 

理系の学部で一番就職に強いのは?

大学の理系学部の卒業後の「正規の職員(正社員)」の割合を調べてみました。

・理学(50%)

数学(57%)物理学(38%)化学(40%)生物学(50%)地学(51%)その他(54%)

・工学(59%)

機械工学(56%)電気通信工学(61%)土木建築工学(73%)応用化学(45%)応用理学(46%)原子力工学(70%)金属工学(4%)繊維工学(22%)船舶工学(50%)航空工学(63%)経営工学(78%)工芸学(79%)その他(56%)

・農学(70%)

農学(68%)農芸化学(67%)農業工学(80%)農業経済学(88%)林学(62%)獣医学畜産学(82%)水産学(65%)その他(67%)

・保健(84%)

医学(ー)歯学(ー)薬学(73%)看護学(92%)その他(84%)

・商船(47%)

商船学(47%)

※医学、歯学の卒業生は臨床研修医になる方がほとんどなので、ここではのぞきます。

 

理系の学部で正社員になる割合の高い順で1~10位まで並べると、こうなります。

1位 保健 看護学(92%)
2位 農学 農業経済学(88%)
3位 保健 その他(84%)
4位 農学 獣医学畜産学(82%)
5位 農学 農業工学(80%)
6位 工学 工芸学(79%)
7位 工学 経営工学(78%)
8位 工学 土木建築工学(73%)
9位 保健 薬学(73%)
10位 工学 原子力工学(70%)

 

「保健」の看護学は正社員採用が9割を超えており、大学の学部では最も就職に強い学部です。

しかも看護学の卒業生19,096人中17,610人が正社員として主に病院などに就職しています。

これだけの大人数で就職率は9割越えですから、看護師などの仕事の需要の高さがうかがえます。

上位は「農学」の学部が多いですが、大卒で就職するなら農業経済学(86%)や獣医学畜産学(82%)や農業工学(80%)がねらい目かもしれません。

「工学」で卒業生の人数が多い学部では土木建築工学(73%)が上位に入っています。

それ以外で卒業生が多い機械工学(56%)や電気通信工学(61%)は大学院への進学率も高くなっています。

「理学」の学部は進学率が高いために、総じて就職率は低いです。

基本的に理系の学部は大学院への進学率も高いため、大卒の就職率はそれほど高くないのが特徴です。

 

大学院(修士課程)卒業後の就職

大学卒業後に大学院に進学する人も多いです。

大学院を簡単に説明すると、大学院は「修士課程」と「博士課程」に分かれています。

「修士課程」は最短で2年間、「博士課程」は最短で3年間にわたって専門分野の研究を行います。

一般的に大学院の修士課程を修了(卒業)した後は民間企業へ就職する人が多いですが、その後博士課程に進む人もいます。

博士課程を修了した人は大学教授などの研究者としての道を進むことが多いです。

ちなみに2019年(平成31年)3月に修了(卒業)した人数は、全国で修士課程が73,169人、博士課程が15,578人になります。

 

文系の学部で一番就職に強いのは?

大学院(修士課程)を修了した後の文系の「正規の職員(正社員)」の割合を調べてみました。

・人文科学(42%)

文学(41%)史学(42%)哲学(39%)その他(44%)

・社会科学(63%)

法学・政治学(60%)商学・経済学(64%)社会学(52%)その他(68%)

・家政(60%)

家政学(-)食物学(68%)被服学(29%)住居学(62%)児童学(20%)その他(58%)

・教育(59%)

教育学(58%)教員養成(61%)体育学(49%)その他(43%)

・芸術(35%)

芸術(32%)デザイン(42%)音楽(30%)その他(39%)

・その他(69%)

自然科学(82%)社会・自然科学(64%)人文・社会科学(47%)その他(69%)

 

大学院の文系の学部で正社員になる割合の高い順で1~10位まで並べると、こうなります。

1位 その他 自然科学(82%)
2位 その他 その他(69%)
3位 家政 食物学(68%)
4位 社会科学 その他(68%)
5位 社会科学 商学・経済学(64%)
5位 その他 社会・自然科学(64%)
7位 家政 住居学(62%)
8位 教員 教員養成(61%)
9位 社会学 法学・政治学(60%)
10位 家政 その他(58%)
10位 教育 教育学(58%)

 

大学院(修士課程)の文系の正社員の割合はそれほど高くはありません。

数字だけで見れば、文系は大学院卒よりも大卒の方が就職率が高いぐらいです。

大卒では「家政」や「社会科学」が強かったのですが、大学院では「その他」が上位に来ています。

大学院の文系では「その他」のような総合的に学ぶ分野が就職に強いのかもしれません。

また「家政」や「社会科学」は上位に入っていますが、「人文科学」の就職率はあまりよくありません。

大学院へ進学するときは、就職先などもよく調べておいた方がいいですね。

 

理系の学部で一番就職に強いのは?

大学院(修士課程)を修了した後の理系の「正規の職員(正社員)」の割合を調べてみました。

・理学(76%)

数学(70%)物理学(74%)化学(79%)生物学(72%)地学(72%)その他(80%)

・工学(90%)

機械工学(94%)電気通信工学(91%)土木建築工学(86%)応用化学(91%)応用理学(84%)原子力工学(86%)金属工学(87%)繊維工学(93%)船舶工学(-)航空工学(82%)経営工学(90%)工芸学(77%)その他(89%)

・農学(79%)

農学(81%)農芸化学(78%)農業工学(82%)農業経済学(60%)林学(68%)獣医学畜産学(75%)水産学(79%)その他(79%)

・保健(72%)

医学(58%)歯学(45%)薬学(70%)看護学(-)その他(76%)

・商船

商船学(60%)

 

大学院の理系の学部で正社員になる割合の高い順で1~10位まで並べると、こうなります。

1位 工学 機械工学(94%)
2位 工学 繊維工学(93%)
3位 工学 電気通信工学(91%)
4位 工学 応用化学(91%)
5位 工学 経営工学(90%)
6位 工学 その他(89%)
7位 工学 金属工学(87%)
8位 工学 土木建築工学(86%)
8位 工学 原子力工学(86%)
10位 工学 応用理学(84%)

 

大学院(修士課程)の理系の正社員の割合は「工学」の学部の高さが際立っています。

1位から10位までを見ると、すべて「工学」の学部です。

「工学」は90%を超える就職率の学部が5つもあり、ほとんどの学部で80%を超えるという驚異の就職率の高さです。

特に修了生が多い機械工学(4,054人中3,809人が正社員として就職)や電気通信工学(6,587人中6,023人が正社員として就職)は人数も多いのに90%を超えているのがスゴいです。

ほかの学部からすればうらやましい限りですが、大学院の「工学」の学部出身者は企業から内定をもらいやすい状況なのでしょうね。

全体的な数字で見ると、「理学(大卒50%→大学院卒76%)」「農学(大卒70%→大学院卒79%)」と進学した方が数字が上がります。

「理学」は修士課程を修了後に博士課程に進む人が16%と学部の中で一番多いです(工学は5%)。

「理学」は研究職につく人が比較的多いため、企業に就職する人は「工学」に比べて低いです。

 

大学に進学する際の学部の選び方

ここまで見てきたことを簡単にまとめてみると、

・大学の文系は「家政」「社会科学」「人文科学」の就職率が高い
・大学の理系は「保健」「農学」「工学」の就職率が高い
・大学院(修士課程)は「工学」の就職率が際立って高い

という点です。

こうしたことを考えて進学先を選んでみてもいいですね。

 

ただ就職率の高さに魅力を感じて学部を選んで大学に入学したけど、

・大学の授業がおもしろくない

・授業についていけずに成績が良くない

なんてこともあります。

 

もともと興味がなかったり苦手な分野の学部に入ったために、勉強についていけなくなって成績が悪くなってしまうこともあります。

やはり成績がけっこう悪かったら、その後の就職活動にも影響してきますよね。

最悪の場合、もう大学に行きたくなくなって退学する方もいるでしょう。

 

大学の学部を選ぶときは「就職のしやすさ」はひとつの目安にしながら、自分が学びたい学部を選ぶことをおすすめします。

 

「数学など理系の科目は大の苦手だけど、工学部は就職率がいいので工学部を目指す」という方は、一度よく考えてみた方がいいです。

大学で自分の苦手な科目を勉強していくのは苦痛ですし長続きしないこともあります。

 

また「本当は文学部に入りたいけど、経済学部のほうが就職に有利そうだから、どちらにするか迷う」という方もいるでしょう。

文学部よりも経済学部のほうが就職に強い数字が出ていますが、双方にそれほど大きな差が開いているわけでもありません。

文学部を卒業して就職している人はたくさんいますし、どの学部でも本人の心がけ次第でいくらでもいい企業に就職できます。

 

自分が学びたい学部でよい成績を取って就職活動をしたほうがうまくいきます。

 

これから大学に進学する方は、そうした点も踏まえて大学の学部を選んでみてはどうでしょうか。

就職に強い学部はありますが、そこに入れば「就職に絶対に困らない」というわけでもないのです。

いろいろと数字を挙げて説明してきましたが、ここのデータは参考程度にとどめておいてください。

就活
スポンサーリンク
このブログを書いている人

東京のとある企業で人事担当の仕事をしております。

応募者の面接担当を受け持つこともありますが、私自身もこれまで3度の転職経験があります。

応募する側と採用する側の両方の経験がありますので、それを生かしてこのブログでは転職希望者や新卒者に向けた情報を提供していきます。

山吉 治をフォローする
転職経験者のブログ

コメント

タイトルとURLをコピーしました