就職に強い大学・大学院の学部学科はどこなのか?調べてみた

就活

高校生はこれから大学に進学するにあたって「どの学部に進もうか?」迷っている方もいると思います。

大学の学部を選択するときに「自分が勉強したいこと」で決める方もいますし、「就職に強そうな学部」で決める方もいるでしょう。

 

でも「就職に強い学部」はどこなのかご存知ですか?

一般的には「文系よりも理系のほうが就職しやすい」とか、「文学部よりも経済学部のほうが就職に強い」という話を聞きます。

実際はどうなっているのか?データをもとに調べてみました。

 

参考にしたデータ

今回、参考にしたのは文部科学省が出している「学校基本調査」のデータです。

ここに掲載されているデータから、大学の学部ごとの就職状況を挙げていきます。

 

まず「学校基本調査」のサイトから「調査結果」へ行き、そこの「年次統計・統計表一覧」を見てみます。

そこに年度ごとの学校調査の集計が掲載されています。

 

最新の平成29年度の「卒業後の状況調査」の「大学」(公開日2017-12-22)があります。

そこに表番号73の「関係学科別 状況別 卒業者数」というデータがありますので、これを元に説明していきます。

 

データはExcel(エクセル)で閲覧できますが、エクセルがインストールされていないときは「Excel Mobile」をダウンロードすると見ることができます。

もしくはグーグルのスプレッドシートでも閲覧することができますよ。

 

大学の学部ごとの就職状況

表番号73の「関係学科別 状況別 卒業者数」のデータには大学の学部・学科ごとの就職状況の数字が載っています。

それぞれの学部の、

・進学者

・正規の職員等

・正規の職員等でない者

・一時的な仕事に就いた者

・左記以外の者

の数字が掲載されています。

 

表にはその他に「臨床研修医」「専修学校・外国の学校等入学者」「不詳・死亡の者」の数字も掲載されていますが、この数字は関係ないので除きます。

 

それぞれの意味は、

「進学者」は大学院への進学する人

「正規の職員等」は正社員で就職する人

「正規の職員等でない者」は派遣・契約社員で就職する人

「一時的な仕事に就いた者」はパート・アルバイトではたらく人

「左記以外の者」は卒業後に進学でも就職でもない人たちのことで「無職」ですね。

 

わかりやすく、パーセンテージ(%)の数字のみで表にすると、このようになります。

進学 正社員 非正規 パート 無職
人文 5 76 4 2 10
社会 2 84 2 1 9
理学 42 47 3 1 6
工学 37 58 1 1 4
農学 24 67 1 1 6
保健 5 69 2 1 8
家政 3 85 5 1 5
教育 6 69 14 4 6
芸術 10 53 8 6 18
その他 7 76 4 2 10

 

就職に強い大学の学部はどこか?

上の表から「就職に強い=正社員になる人の割合が高い」という基準で見てみます。

それで就職に強い学部ごとにランキングで並べてみると、

1位 家政(85%)

2位 社会科学(84%)

3位 人文科学、その他(76%)

4位 保健、教育(69%)

5位 農学(67%)

6位 工学(58%)

7位 芸術(53%)

8位 理学(47%)

となります。

 

「理学」「工学」「農学」の理系は、ほかの学部に比べて大学院への進学率が高いため、就職する人の割合は低くなっています。

大学院へ進学して専門的な知識をより学んでから就職する方が多いのでしょう。

 

「文学部よりも法学部や経済学部のほうが就職に強い」ということはよく言われていましたが、実際に「人文科学」は76%、「社会科学」は84%という結果が出ています。

ただし人文科学も比較的就職率が高い学部なのがわかります。

 

また「保健」「教育」「芸術」は、他の学部に比べて正社員の割合が低い数字が出ています。

「保健」に関しては「医学・歯学」の卒業生が臨床研修医になる人が多いため、「保健」の正社員の割合が低くなっています。

 

「教育」は正社員が69%と低く、非正規が14%で、この非正規数字が他に比べて大きいです。

「教育」の非正規の多さは意外でしたが、なぜなのかはよくわかりません。

 

「芸術」は正社員が53%と低く、非正規が8%、パート・アルバイトが6%、そして突出して多いのが無職の18%です。

「芸術」の無職の多さは卒業後に就職する人はそれほど多くなく、自分で作品をつくるなどの活動している方が多いのかもしれませんね。

 

大学の文系・理系の学部・学科ごとに調べてみた

文系の学部・学科で一番就職に強いのは?

文系の学部・学科の卒業後の「正規の職員(正社員)」になる人の割合を調べてみました。

・人文科学

文学(78%)史学(73%)哲学(70%)その他(77%)

・社会科学

法学・政治学(80%)商学・経済学(85%)社会学(83%)その他(84%)

・家政

家政学(85%)食物学(88%)被服学(74%)住居学(82%)児童学(79%)その他(83%)

・教育

教育学(67%)小学校課程(61%)中学校課程(50%)中等教育学校課程(48%)養護学校課程(37%)幼稚園課程(95%)体育学(67%)特別支援教育課程(62%)その他(71%)

・芸術

芸術(44%)デザイン(68%)音楽(36%)その他(60%)

・その他

教養学(76%)人文・社会科学(76%)国際関係学(83%)人間関係学(75%)その他(76%)

 

正社員になる割合の高い順で1~10位まで並べると、

1位 幼稚園課程(95%)

2位 食物学(88%)

3位 商学・経済学(85%)

3位 家政学(85%)

5位 社会科学その他(84%)

6位 国際関係学(83%)

6位 家政その他(83%)

8位 住居学(82%)

9位 法学・政治学(80%)

10位 児童学(79%)

となります。

 

文系の学科で見ると、教育の幼稚園課程(95%)や家政の食物学(88%)などの数字が高いですね。

ここから文系の学部は大卒後の就職率が高く、中でも「経済学関係」や「家政学関係」が就職に強いことが分かります。

 

理系の学部・学科で一番就職に強いのは?

理系の学部・学科の卒業後の「正規の職員(正社員)」の割合を調べてみました。

・理学

数学(53%)物理学(37%)化学(40%)生物学(46%)地学(49%)その他(50%)

・工学

機械工学(55%)電気通信工学(59%)土木建築工学(70%)応用化学(42%)応用理学(43%)原子力工学(68%)金属工学(14%)繊維工学(24%)船舶工学(49%)航空工学(61%)経営工学(76%)工芸学(82%)その他(55%)

・農学

農学(66%)農芸化学(64%)農業工学(79%)農業経済学(86%)林学(60%)獣医学畜産学(77%)水産学(63%)その他(64%)

・保健

医学(ー)歯学(ー)薬学(73%)看護学(92%)その他(84%)

・商船

商船学(47%)

 

理系の学部・学科は基本的に大学院への進学率も高いため、大卒後の就職率はそれほど高くはありません。

正社員になる割合の高い順で1~10位まで並べると、

1位 看護学(92%)

2位 農業経済学(86%)

3位 保健その他(84%)

4位 工芸学(82%)

5位 獣医学畜産学(77%)

6位 薬学(73%)

7位 土木建築工学(70%)

8位 原子力工学(68%)

9位 農学(66%)

10位 農芸化学、農学その他(64%)

 

また「医学」「歯学」はデータがないので省略しますが「薬学」は73%、看護学は92%となります。

看護学は正社員採用が9割を超える「就職に強い学部」ということになります。

農業経済学(86%)もねらい目の学科ですね。

 

大学院(修士課程)の文系・理系の学部・学科ごとに調べてみた

文系の学部・学科で一番就職に強いのは?

大学院(修士課程)を卒業した後の文系の「正規の職員(正社員)」の割合を調べてみました。

表番号79「修士課程の状況別卒業者数」を参考にしています。

・人文科学

文学(38%)史学(42%)哲学(35%)その他(39%)

・社会科学

法学・政治学(58%)商学・経済学(62%)社会学(53%)その他(65%)

・家政

家政学(2%)食物学(70%)被服学(42%)住居学(62%)児童学(50%)その他(59%)

・教育

教育学(53%)教員養成(59%)体育学(47%)その他(36%)

・芸術

芸術(30%)デザイン(46%)音楽(28%)その他(34%)

・その他

自然科学(79%)社会・自然科学(73%)人文・社会科学(48%)その他(61%)

 

正社員になる割合の高い順で1~10位まで並べると、

1位 自然科学(79%)

2位 社会・自然科学(73%)

3位 食物学(70%)

4位 社会科学その他(65%)

5位 商学・経済学、住居学(62%)

6位 その他その他(61%)

7位 教員養成、家政その他(59%)

8位 法学・政治学(58%)

9位 社会学、教育学(53%)

10位 児童学(50%)

 

文系の大学院(修士課程)の「正規の職員(正社員)」の割合は数字で見るとそれほど高くはありません。

大学院へ進学するときは、進学先をよく調べておいた方がいいですね。

 

理系の学部・学科で一番就職に強いのは?

大学院(修士課程)を卒業した後の理系の「正規の職員(正社員)」の割合を調べてみました。

・理学

数学(69%)物理学(71%)化学(77%)生物学(74%)地学(65%)その他(82%)

・工学

機械工学(94%)電気通信工学(91%)土木建築工学(86%)応用化学(90%)応用理学(82%)原子力工学(84%)金属工学(90%)繊維工学(88%)船舶工学(-)航空工学(83%)経営工学(86%)工芸学(90%)その他(89%)

・農学

農学(73%)農芸化学(92%)農業工学(81%)農業経済学(68%)林学(78%)獣医学畜産学(68%)水産学(80%)その他(81%)

・保健

医学(58%)歯学(57%)薬学(72%)看護学(-)その他(76%)

・商船

商船学(69%)

 

正社員になる割合の高い順で1~10位まで並べると、

1位 機械工学(94%)

2位 農芸化学(92%)

3位 電気通信工学(91%)

4位 応用化学、金属工学、工芸学(90%)

5位 工学その他(89%)

6位 繊維工学(88%)

7位 土木建築工学、経営工学(86%)

8位 原子力工学(84%)

9位 航空工学(83%)

10位 応用理学(82%)

 

理系の大学院(修士課程)の「正規の職員(正社員)」の割合は全体的に見ても非常に高いです。

中でも「工学」の学部・学科の就職率の高さが際立っています。

 

「工学」は90%を超える就職率の学科が5つもあり、すべての学科で80%を超えるという驚異の就職率の高さです。

大学院の工学出身者は企業から内定をもらいやすい状況なのでしょうね。

 

そして「理学」や「農学」も大学の時と比べると数字が高くなっています。

理系は「大学院まで行って就職」というコースもおすすめです。

 

大学に進学する際の学部の選び方

ここまで見てきたことを簡単にまとめてみると、

大学の文系は「社会科学」と「家政」の就職率が高い

理系は大学院(修士課程)卒業後の就職率が高く、特に「工学」はその数字が際立っている

という点です。

こうしたことを考えて進学先を選んでみてもいいですね。

 

ただ就職率の高さに魅力を感じて学部を選んで大学に入学したけど、

・勉強が面白くない

・授業についていけずに成績が良くない

なんてこともあります。

 

もともと興味がなかったり苦手な分野の学部に入ったために、勉強に身が入らなくなり成績が悪くなったら、その後の就活にも影響してきますよね。

最悪の場合、もう大学に行きたくなくなって退学するという方もいるでしょう。

 

大学の学部・学科を選ぶときは、「就職のしやすさ」はひとつの目安にしながら、自分が学びたい学部・学科を選ぶのが一番です。

 

「数学など理系の科目は大の苦手だけど、工学部は就職率がいいので工学部を目指す」という方は、一度よく考えてみた方がいいです。

大学で自分の苦手な科目を勉強し続けるのは苦痛ですし長続きしないこともあります。

 

また「本当は文学部に入りたいけど、経済学部のほうが就職に有利そうだから、どちらにするか迷う」という方もいるでしょう。

文学部よりも経済学部のほうが就職に強い数字が出ていますが、双方にそれほど大きな差が開いているわけでもありません。

文学部を卒業して就職している人はたくさんいますし、どの学部でも本人の心がけ次第でいくらでもいい企業に就職できます。

 

自分が学びたい学部でよい成績を取って就職活動をしたほうがうまくいきますよ。

 

これから大学に進学する方は、そうした点も踏まえて学部・学科を選んでみてはどうでしょうか。

就職に強い学部・学科はありますが、そこに入れば「就職に絶対に困らない」というわけでもないのです。

いろいろと数字を挙げてきましたが、ここのデータは参考程度に見ておくのがいいかと思います。

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このブログを書いている人

東京のとある企業で人事担当の仕事をしております。

応募者の面接担当を受け持つこともありますが、私自身もこれまで3度の転職経験があります。

応募する側と採用する側の両方の経験がありますので、それを生かしてこのブログでは転職希望者や新卒者に向けた情報を提供していきます。

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